鳥葬の実際

現代人には残酷としか思えない鳥葬ですが、実際に行っている地域ではどのような手順が一般的なのでしょうか。臨終した後、いきなり鳥葬されるケースはほとんどありません。普通は遺体の安置期間が設けられ、遺族が遺体に寄り添います。この間、僧侶が呼ばれて読経が行われ、魂をあの世へと送り出します。ですから残った遺体は宗教的にはそれほど重要でなくなります。例えばチベットなどでは細かなしきたりが他にもあり、節目を迎えるまでは故人の名前を口にしてはいけません。これはあの世へ送り出した魂が戻ってこないようにするためです。その意味で、鳥葬は地域の宗教、信仰と関係が深く、奥の深い葬儀だと言えます。遺体の安置が数日続けば、その後はいよいよ鳥葬本番が始まります。鳥葬の直前は遺族にとって最も忙しい時期に当たり、ひたすらお経を唱えなければなりません。傍で高僧が唱えてくれているのですから、不満を漏らすことも許されません。当日は早い時間帯に出発するのが通例です。午前中には鳥葬場に到着し、僧侶も集まってきます。僧侶の数は故人の地位に左右されるのですが、偉人の場合は数十人の僧侶が会します。僧侶の準備が済んだら、遺体は専用台に置かれます。この時、特に遺体に対する配慮は必要ありません。既に魂が抜けきっていると考えられるからです。あまり知られていないのですが、鳥葬で処理する遺体は、鳥についばまれる前に、人間の手で幾つかに切り分けられます。残酷なシーンですが、切り分ける専門業者が存在します。切り分けが無事に済めば、後は放置するだけで鳥が食べてくれます。様々な鳥が寄ってきますが、主にハゲタカがついばみます。