葬儀の事前相談

葬儀は大々的な催しですから、亡くなってから段取りを決めるのは遅すぎます。だからといって普段から葬儀に気を払っている人は少ないでしょう。葬儀屋はそのような市井の人々の気苦労を見てきまし。とある葬儀屋が過去にお引き受けした鈴木家の葬儀もその1つでした。鈴木さんの葬儀は突然決まったわけではなく、元々入院中の故人が夏の暑さに勝てず、徐々に体調を悪くしている中で持ち掛けられた話でした。故人の娘さんが父親の死期を悟り、筆者の店に来店されたのです。初めて娘さんに会った時の事を覚えていますが、非常に疲れているのが見て取れました。話を聞く限りでは、どうも故人の容態が芳しくなく、主治医から覚悟するようにと告げられたようでした。娘さんは、「いつかは来ると覚悟していましたが、今の今まで葬儀のことは考えないようにしていました。ですからどのように葬式をあげればよいのか全く分かりません」と、正直にお話しになりました。葬儀業を長く続けていると、娘さんのような方がいらっしゃるのは珍しくありません。筆者は「お話を聞かせて下さい」とお答えし、娘さんの気分を落ち着かせることに注意を払いました。娘さんが私に根掘り葉掘り質問した内容は、他の多くの来店者もよく口にします。例えば、遺体はどう処理すればよいのか、死亡の事実をどこに伝えればよいのか、宗教関係の方をいつ呼べばよいのか、費用はどれくらいかかるのか、等々です。葬式がいよいよ現実のものとして意識されると、このような不安を誰しもが抱くのです。葬儀業者はこれらの質問に対して、「我々にお任せください。葬儀に関する事なら何でもお答えします」と返答し、安心するように促します。

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